昭和37年2月

工場で作業を続けている中、同僚と二人で大きな厚い鉄板の切断作業中、鉄板の寸法合わせをしていた。

その矢先、
同僚が鉄板から手をすべらせた。
と同時に同僚が自分で足下のスイッチを踏んでしまう…。
ぼくは、

「あっ。」

と叫んだが、一瞬のうちに鉄板と共に同僚の左手第二間接から先の指三本を切断してしまった。
ぼくは、驚いて機械の反対側に回ると、切断された指が、手袋の一本一本の指先部分に入ったまま、散乱していた。

ぼくは、落ちた指を集め、同僚を連れ、病院に行った。診察を受けたが、切れた指を付ける事ができなかった。
「自分が一緒にいながら…。」と気の毒で、事故の瞬間が脳裏から離れない日であった。