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昭和33年

ぼくが露天商を行う行動範囲は、福島県田村郡内全域及び双葉郡川内村等であった。

川内村へは、一山を越えるのである。山頂までが急な坂道であり、峠を越えて高田島を経由して川内村へ行くのである。

露天商の荷物をいっぱい積んでいるので、登りの坂道になると自転車のハンドルに肩をかけて押しながら登るのだが、頂上までの所要時間は約1時間。自転車を引きながら歩いて登るので汗びっしょりで登っていた。

この時、同業者の先輩は、戦病者であった。片腕が無いのに、普通の人よりも早い。それを見て、「自分は健常者。負けてたまるか。」と思いのを我慢しながら負けまいと行動していた。